マンション管理の指針

 マンションは、土地利用の高度化の進展に伴ない、職住近接という利便性や住空間の有効活用という機能性に対する積極的な評価、マンションの建設・購入に対する融資制度や税制の整備を背景に、都市部を中心に持家として定着し、重要な居住形態となっている。

 

 その一方で、一つの建物を多くの人が区分して所有するマンションは、各区分所有者等の共同生活に対する意識の希薄さ、多用な価値観を持った区分所有者間の意思決定の難しさ、利用形態の混在による権利・利用関係の相違、建物構造上の技術的判断の難しさなど、建物を維持管理していく上で、多くの課題を有している。

 

 特に、今後、建築後相当の年数を経たマンションが、急激に増大していくものと見込まれることから、これらに対して適切な修繕がなされないままに放置されると、老朽化したマンションは区分所有者自らの居住環境の低下のみならず、ひいては周辺の住環境や都市環境の低下など、深刻な問題を引起す可能性がある。

 

 このような状況の中で、管理組合によるマンションの適正な管理が行われるよう当社としてお手伝いができればと思います。この指針は、このような認識の下に、マンションの適正推進に必要な事項を定めてみました。

1.マンション管理の適正化の基本的方向

 マンションは、今や我が国における重要な居住形態となり、その適切な管理は、マンションの区分所有者等だけでなく、社会的にも要請されているところである。

 このようなマンションの重要性に鑑み、マンションの社会的資産として、この資産価値をできる限り保全し、かつ、快適な居住環境が確保できるように、以下の点を踏まえつつ、マンションの管理を行うことを基本とすべきである。

 

  1. マンション管理の主体は、マンションの区分所有者等で構成される管理組合であり、管理組合は、これらの目的を達成するため、マンション区分所有者等の意見が十分に反映されるよう、また、長期的な見通しに立って、適正な運営を行うことが重要である。特にその経理は、健全な会計を確保するよう、十分な配慮がなされる必要がある。
     
  2. 管理組合を構成するマンションの区分所有者等は、管理組合の一員としての役割を十分認識して、管理組合運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう務める必要がある。
     
  3. マンションの管理は、専門的知識を要することが多いため、管理組合は、問題に応じ、マンション管理業務主任者等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要である

2.マンション管理組合が留意すべき基本的事項

  1. 管理組合の運営
    管理組合の運営は、マンションの区分所有者等の全員が参加し、その意見を反映することにより成り立つものである。そのため、管理組合の運営は、情報の開示、運営の透明化等、開かれた民主的なものとする必要がある。また集会は、管理組合の最高意思決定機間である。したがって、管理組合の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、集会において適切な判断が行われるよう配慮する必要がある。管理組合の管理者等は、マンション管理の目的が達成できるように、法律等を遵守し、マンションの区分所有者等のため、誠実にその職務を執行するひつようがある。
     
  2. 管理規約
    管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、その作成にあたっては、管理組合は、建物の区分所有等に関する法律に則り、「中高層共同住宅標準管理規約」を参考として、当該マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成し、必要に応じて、その改正を行うことが重要である。さらに、快適な居住環境を目指し、マンションの区分所有者等間のトラブルを未然に防止するために、使用細則等マンションの実態に則した具体的な住まいのルールを定めておくことが肝要である。 管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、その是正又は排除を求める措置をとることが重要である。
     
  3. 共用部分の範囲及び管理費用の明確化
    管理組合は、マンションの快適な居住環境を確保するため、あらかじめ、共用部分の範囲及び管理費用を明確にし、トラブルの未然防止を図ることが重要である。特に、専用部分と共用部分の区分、専用使用部分と共用部分の管理及び駐車場の使用等に関してトラブルが生じることが多いことから、適正な利用と公平な負担を明確に定めておくことが望ましい。
     
  4. 管理組合の経理
    管理組合がその機能を発揮するためには、その経済的基盤が確立されていることが重要である。このため、管理費及び特別修繕費等について必要な費用を徴収するとともに、これらの費目を明確に区分して経理を行い、適正に管理する必要がある。又管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管するとともに、区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する必要がある。
     
  5. 長期修繕計画の策定及び見直し等
    マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持・向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要である。
    特に、経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を策定し、必要な修繕積立金を積み立てておく必要がある。長期修繕計画を策定及び見直しにあたっては、必要に応じ、管理業務主任者等専門的知識を有する者の意見を求め、又、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンション区分所有者等に十分周知させることが必要である。
    管理組合は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要である。また、この図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ適時閲覧できるように配慮することが望ましい。
    なお、建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、建替えについても視野に入れて検討することが望ましい。建替えの検討にあたっては、その過程マンション区分所有者等に周知させるなど透明性に配慮しつつ、各区分所有者等の意向を十分把握し、合意形成を図りながら進めることが必要である。

3.マンション区分所有者が留意すべき基本的事項

 マンションを購入しようとする者は、マンション管理の重要性を十分認識し、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意する必要がある。また、マンション区分所有者等は、マンションの居住形態が戸建てのものとは異なり、相隣関係等に配慮を要する住まい方であることを十分に認識し、その上で、マンションの快適かつ適正な利用と資産価値の維持を図るため、管理組合の一員として、進んで集会その他の管理組合の管理運営に参加するとともに、定められた管理規約、集会の決議等を遵守する必要がある。そのためにも、マンションの区分所有者は、マンションの管理に関する法律等に関する理解を深める必要がある。

 

 専有部分の賃貸人等の占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、マンションの区分所有者等が管理規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うことに十分に留意することが重要である。

4.マンションの管理委託に関する基本的事項

 管理組合は、マンションの管理の主体は管理組合自身であることを認識した上で、管理事務の全部又は一部を第三者に委託しようとする場合は、その委託内容を十分に検討し、書面をもって管理委託契約を締結することが重要である。なお、管理委託契約を選定する場合には、管理組合の管理者等は、事前に必要な資料を収集し、マンション区分所有者等にその情報を公開するとともに、マンション管理業者の行う説明会を活用し、適正な選択がなされるように努める必要がある。また、管理委託契約先が選定されたときは、管理組合の管理者等は、当該契約内容を周知するとともにマンション管理業者の行う説明会及び管理事務の報告等を活用し、当該契約書の周知及び管理事務の適正化を図れるよう務める必要がある。

 

 

 以上、当社として区分所有マンション管理の適正指針を延べさせて頂きました。マンション管理についてお手伝い、アドバイスが出来ればと思います。